屋根の形状・種類まとめ

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マリコ

街を歩いていると色んなデザインや形状の家があるけど、屋根も様々な形状や種類があるのね。それぞれどんな役割や長所があるのかしら。

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家づくりの過程の中で、その地域の気候特性やこだわりたいデザイン・雰囲気によって、多くの種類から最もふさわしいものを選ぶ必要があるんだよ。具体的にどんな種類の屋根があるのか、見てみよう。

雨や風から家を長期間守ってくれる屋根という存在は、家づくりの中でも最も重要な要素の一つです。それぞれの屋根の形状・種類どのような役割があるのか、具体例を見ながら屋根について考えてみましょう。

屋根の役割

屋根には様々な形状や種類があり、それぞれの特長は異なっています。しかしながらそれぞれに特色があるとはいえ、屋根の最も重要な役割は「雨や風から家や生活を守る」ということです。

たとえデザインや雰囲気が住む人の意向通りのものであったとしても、機能面で問題があって頻繁に雨漏りをしたり、断熱性能に乏しい屋根を選択してしまうと、快適な生活を手に入れることはできません。それだけ、屋根は非常に重要なものなのです。この最低限の機能を満たした上でその地域の気候特性を考慮に入れつつ、適材適所の屋根を選択することが肝要です。

例えば、比較的気温の高い地域では風通しを確保するために屋根に通気窓をつけたり、室内温度を快適に保つ工夫が必要になります。

低温な地域では、室内で温められた空気を外部に逃がさぬよう、他の地域よりも高い断熱性・気密性が必要になってくる一方で、室内に湿気が籠もり過ぎないような透湿性も求められます。

このように、地域の気候特性を考慮した屋根材の選定・施工が必要になります。

屋根材の種類と選び方のポイントは?

屋根の形状と並んで、屋根材にどのような素材を選ぶかという点も、家づくりの過程の中では非常に重要になってきます。耐久性や気密性などの基礎的な性能はもちろんのこと、意匠面からも周囲の人に与える印象は素材ごとに様々です。またどのような屋根材を選択するかによって、定期的なメンテナンスを含めたコストの面でも大幅に異なる場合がありますので、総合的に考えて最適な屋根材を選択できるようにしておきましょう。

スレート瓦

近年の新築住宅において定番と言ってもいいほど、広く一般的に使用されている屋根材です。「カラーベスト」などと呼ばれることもあります。

単純に説明すると、スレート瓦とは厚さ5mm程度の薄いセメントの板を貼り合わせた屋根材のことで、シンプルな見た目が特徴です。施工の際のコストが安く抑えられ、色も20種類以上の中から選べるということもあり、和風・洋風どちらの家の雰囲気にも合わせることができる、いわば万能な屋根材です。

セメントを使用しているため、施工業者等による「踏み割れ」や台風時の飛来物による割れが発生することがあり、最悪の場合室内への雨漏りや結露の原因ともなります。したがって定期的な点検やメンテナンスが必要となりますが、多くの住宅で使われている屋根材なだけに、扱うことができる業者が見つけやすく相談しやすい反面、施工品質の低い業者にあたってしまうこともあります。

メンテナンスや施工の際には、しっかりと施工してくれる業者なのかどうか、実績等を基に見極めを行っていくことが肝要です。

日本瓦

伝統的な日本建築の屋根に用いられる屋根材で、基本的には粘土を成型して瓦の形にします。特徴としては、「耐久性能が非常に高く、防炎・防水性能にも非常に優れている」という点が挙げられます。

城などの古代の建築物の瓦の葺き替え作業が概ね100年に1度で済んでいることや、遺跡発掘の現場では、数百年から数千年前の瓦が頻繁に発掘されることからも、耐久性能に関しては申し分ないと言えます。

また、日本瓦は1000℃を超える熱で焼き締めるのが一般的であることから炎などによる熱にも非常に強いため、防炎性能にも優れています。日本の家庭でも広く陶器製の器が使用されていることからわかるように、防水性能も問題ありません。

さらに施工時には、桟木と呼ばれる木を瓦と屋根板の間に置くことで空気層が発生するため結露しにくい構造で、断熱性にも優れています。

デザインの面でも、一般的なイメージとして古典的な日本建築にばかり目が行きがちですが、洋風建築などとも相性が良く、意匠にこだわりたいという方にはもってこいの屋根材なのです。

このようにメリットが多い日本瓦ですが、やはり考慮すべき問題もあります。一つは、家の周辺環境から、日本瓦が劣化しやすくなる場合があるということです。

例えば海沿いや比較的寒冷な地域などでは、内陸部や温暖な地域よりも日本瓦の劣化が早いと言われています。その原因として挙げられるのが、「塩害」「凍害」です。こうした条件下では、日本瓦の原料である粘土が脆くなってしまう可能性があるのです。屋根材に日本瓦を採用しようと考えているなら、その地域の気候特性を十分考慮する必要があるのです。

もう一つの問題は、「地震時の揺れの影響を大きく受ける場合がある」ということです。

日本瓦は他の屋根材と比較しても重量が重いため、地震時に家の揺れ幅を大きくしてしまう場合があるのです。このような場合だと、強度の高い瓦自体に問題はなくとも、瓦と瓦を接合している漆喰部分に亀裂やずれが生じ、そこから漏水してしまうケースもあります。他の屋根材と同様、定期的なメンテナンスが欠かせないということですね。

このように日本瓦は性能面で非常に優れた屋根材ですが、上記のような問題を考慮したうえで、慎重に施工する必要があります。

ガルバリウム鋼板

鋼板の表面にメッキを塗って錆びにくくしている金属製の屋根材です。錆などに強く、長持ちする屋根材として注目されています。

巷では「錆びない」「熱くならない」「メンテナンスが不要」などの謳い文句で家を建てる際にガルバリウム鋼板を勧めている工務店もあるようです。もちろん「錆に強い面」があり、「熱くなりにくい面」があり、「メンテナンス費用がかかりにくい面」はありますが、全ての面において完璧な屋根材であると考えるのは少し危険です。

やはり金属ですので、釘を打った箇所や飛来物等により傷ついた箇所などから錆が回ることもあります。また、夏場には太陽の熱でガルバリウム鋼板自体が熱せられ、室内が熱くなる傾向にあります。

メンテナンスについては、上記のような面からも定期的に劣化状況を把握し、必要に応じて塗装や葺き替え、カバー工法などの方法を選択する必要があります。「メンテナンスフリーの素材」は存在しないと思った方が良いのです。

昔は「ガルバリウム鋼板の施工は高度な技術が必要」と言われていた時代もありますが、技術の進歩によって、施工が容易な商品も数多く開発されるようになってきました。とは言え、施工時の不具合が数年経過した後に結露や雨漏りなどとして現れることもあります。このようなことを防ぐためにも、施工時の業者選定は慎重に行いましょう。

代表的な屋根の例

ここでは、代表的な形状の屋根の画像を紹介します。様々な種類を比べてみると、材質や形状によって特長や機能面での優位性があることがわかります。

切妻屋根

いわゆる「三角屋根」の家を指します。「家」と言われて真っ先にイメージするのがこの「切妻屋根」を採用した家なのではないでしょうか。

日本瓦、ガルバリウム鋼板、スレート瓦など、ほとんどの屋根材を採用することができます。また、構造が比較的単純なためメンテナンスがしやすく、施工コストも抑えられるという面もあります。さらに、屋根の向き・形状によっては近年注目を浴びているソーラーパネルを設置することも可能ですし、湿気が気になる場合などには換気窓を設置することも容易です。

デザイン性もよく、和風建築や洋風建築など、あらゆる種類の建築手法にも対応させることができます。

メンテナンスの面では、三角形の頂点の「大棟」と呼ばれる箇所の劣化が進行することで、室内に漏水するリスクもありますので、定期的な点検や補修が必要となります。

片流れ屋根

近年、街でもたくさん見かけるようになった屋根形状です。

画像の通り構造が単純な場合が多いため、施工が容易で、メンテナンスもしやすいというところが最大の利点です。

ただし、太陽光パネルを取り付けようとする場合は注意が必要です。ご覧の通り屋根が一方向にしか傾いていないため、屋根の向きによっては太陽の光を多く取り込むことが困難となり、発電効率が下がってしまいます。

また、降雨時には一方向にしか雨水が流れないため、大きめの樋を設置する必要があります。

方形屋根

家の上に三角錐が乗っているような形状の屋根です。

風などの影響が一面にしかかからない形状のため、比較的耐久性が高いのが特徴と言えます。

しかしながら、三角錐の頂点をはじめとして棟の範囲が広い(4本)ため、棟の不具合により室内への雨漏りなどのリスクが高まる傾向にあります。また、一つ一つの面の面積が狭いため、ソーラーパネルを設置しようとしてもうまくいかない場合もあります。

入母屋屋根

伝統的な日本建築においてよく用いられる形状の屋根です。

重厚感に富んだ外観を実現することができます。また画像から見て取れる通り、三角形の部分で屋根裏の通気性を確保することが可能です。

構造が複雑なため、雨漏りが発生した場合に原因箇所の特定が困難な場合があります。また、施工やメンテナンスに高度な技術が必要とされるため、全般的なコストが高くなる傾向にあります。重厚な意匠を実現したいと思われている方にはおススメの屋根形状です。

陸屋根

アパートやマンションなどの屋上によく見られる屋根形状です。一戸建てなどにおいては2階もしくは3階部分を陸尾根としておけば、洗濯物を干すスペースやプライベートな空間として利用できるというメリットがあります。

この屋根形状の最大の特徴は、「陸屋根」という名前の通り屋根自体に傾斜が付いていないことです。このことにより、屋上のスペースを有効活用できるという利点がある反面、様々なデメリットもあります。

一つ目は、屋上に傾斜が付いていないために雨水が溜まりやすいという点です。万一屋上の防水施工に不具合がある場合、最上階に漏水してしまう可能性もあります。このような時、不具合箇所の特定に時間を要してしまう場合もあります。

二つ目は、太陽の光が強く照り付ける夏場などでは、屋上で受けた太陽光の熱がダイレクトに最上階に伝わってしまい、過ごし難い部屋になってしまう点です。この場合では、最上階と屋上の間の通気性を確保したり、断熱性能を向上させる工夫が必要となりますが、何らかの対策をしていたとしても、この問題が完全に解決することは難しいと言えそうです。

寄棟屋根


※足利学校(栃木県)は寄棟屋根

方形屋根と似ていますが、2つの台形と2つの三角形を組み合わせたような形状の屋根です。4つの屋根面が互いに支え合うような形状になっているため、四方からの風や雨の力に強いとされています。

デザイン性もよく、和風・洋風いずれの建築様式にも対応する屋根の種類です。

方形屋根と同じく、棟の範囲が広いため、雨漏りしないように棟の部分の施工には注意を払う必要があります。

まとめ

この記事で見てきたように、適切な屋根・屋根材を選択することは、「良い家づくり」をする上で基本的かつ重要な部分です。ここのフローをないがしろにしてしまうと、頻繁に雨漏りをしたり、湿度が籠もって快適な住環境とは言い難い家になってしまいます。

また、将来的なメンテナンスコストも考慮して、自分のライフスタイルに最も適した屋根の形状・種類を選択する必要があります。せっかく建築コストを削っても、メンテナンスコストが通常の倍以上かかってしまうと、本末転倒ですね。

屋根の形状・種類を理解しそれぞれの特長やメリット・デメリットを把握したうえで、最良の選択ができるようにしておきましょう。